○高石市手話言語の理解及び普及並びにコミュニケーション手段の利用を促進する条例

令和7年3月12日

条例第2号

手話は、音声言語とは異なる語彙及び文法体系を有し、手指や体の動き、表情を用いて視覚的に表現するものであり、ろう者が物事を考え、コミュニケーションを図り、知識を蓄え、文化を創造するためにこれまで大切に育み、受け継がれてきたろう者にとって欠かせない言語です。

障害者の権利に関する条約において、言語とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語と定義され、手話その他の形態の非音声言語が言語として国際的に認められました。また、障害者基本法(昭和45年法律第84号)は、全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られるよう規定しています。

しかし、手話が言語として広く社会に認められなかったことや、手話によるコミュニケーションがしやすい環境が整えられなかったことから、ろう者は必要な情報を十分に得ることやコミュニケーションを図ることが困難であり、多くの不便や不安を感じながらの生活を余儀なくされました。

こうしたことから、市民一人ひとりが全ての障害者に関する理解を深め、お互いに支え合える環境づくりを進めていくとともに、手話など様々なコミュニケーション手段を選択することができる社会の実現を進めていく必要があります。

よって、ここに高石市は、手話は言語であるという認識の下、手話への理解の促進及び手話の普及並びに手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備を図ることにより、全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく、お互いの人格と個性を尊重し合いながら、安心して心豊かに暮らすことのできる共生社会の実現を目指して、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話への理解の促進及び手話の普及並びに手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に関し、手話が言語であるとの認識に基づき、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病その他の心身の機能の障害がある者であって、これらの障害又は社会的障壁(障害者基本法第2条第2号に規定するものをいう。)により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(3) コミュニケーション 人々が相互に情報を伝達し、意思を疎通し、気持ちや心を通わせて理解し合うことをいう。

(4) 手話等コミュニケーション手段 手話、要約筆記、筆談、音訳、点字、触手話、指文字、平易な表現その他の障害者が情報の取得及びコミュニケーションを行う際に必要な手段として利用されるものをいう。

(基本理念)

第3条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が独自の言語であることを基本とし、ろう者にとって手話がコミュニケーションを図る上でかけがえのない大切な手段であるとの認識を持って行わなければならない。

2 手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備は、障害者と障害者以外の者が互いの違いを理解し、相互に人格及び個性を尊重し合うことを基本とし、手話等コミュニケーション手段が障害者にとって日常生活及び社会生活を営む上で必要不可欠であるとの認識を持って行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話への理解の促進及び手話の普及並びに手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備について、障害者が自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、前条の規定に基づき市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、障害者の手話等コミュニケーション手段の利用について必要かつ合理的な配慮を行うとともに、第4条の規定に基づき市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、基本理念に基づき、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話への理解の促進及び手話の普及を図るための施策

(2) 手話等コミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備を図るための施策

(3) 手話等コミュニケーション手段による情報の提供及び取得に関する施策

(4) 手話等コミュニケーション手段による意思疎通の支援に関する施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために市長が必要と認める施策

(委任)

第8条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

高石市手話言語の理解及び普及並びにコミュニケーション手段の利用を促進する条例

令和7年3月12日 条例第2号

(令和7年4月1日施行)

体系情報
第7編 社会福祉/第4章 障害者福祉
沿革情報
令和7年3月12日 条例第2号